長い道の先に
いったい何が待っているのだろう


世界の裏切り 第21話


目の前に長くて急な階段が現れた。試験官のサトツさんは軽やかに、すいすいと階段を上っていく。
隣にいるレオリオは上半身裸で汗だくの状態だった。
「大丈夫?」
「あ、ああ…っ」
はあはあと息を切らしている彼が少しでも楽になるようにと、背中の汗をタオルで拭いてやる。
これで少しでも、レオリオが快適に長距離を走れると良いのだが。
、すまないな。こんな奴に」
「こんな奴にって…クラピカ、失礼だろっ」
クラピカが申し訳なさそうに彼に対して言った冗談にクスッと笑った。レオリオも笑いながら怒っているあたり、これが冗談だと分かっているのだろう。
彼らのやりとりは、ほのぼのとしていて、見ているこっちも楽しくなるものだ。キルアも同じように、ゴンに対してそう思っているかもしれない。
やっぱり彼らは素材が良い。きっとこれからどんどん成長して伸びていくだろう。
けっこうの間階段を上っていくと、とうとう地上が見え始めた。
「あと少しで地上に出るわ」
「そうか、長かったな」
「つ、疲れたぜ…っ」
彼らを安心させるために、目に見えた情報を伝える。レオリオは本当に辛そうだ。
階段を上りきるとそこは湿原で、辺りに霧がかって視界が悪い状態である。
「ここはヌメーレ湿原です。騙されると死にますよ」
サトツが説明している間に、レオリオ達とは離れ、キルアの元に向かった。今ごろ彼らは仲良くなっているのだろうか。
ちらりと辺りを見渡すと、ヒソカと目が合いぞわりと鳥肌が立つ。たぶんこれは生理的に受け付けないという私の心境を表しているのだろう。
「キルア、ゴン。調子はどう?」
彼らの肩をぽんぽんと叩いて、自分の存在を気付かせた。二人は各々感じた事があったのか、それぞれの意見をまくし立てる。
「こんなに簡単だとは思わなかったよ!」
「俺はけっこう楽しいよ!この後も楽しみ!」
彼らの話しを聞いて、良かったわねと頭を撫でた。どうやら、彼らは私が思っていた以上にお互いの事が気に入ったらしい。
にこにこと会話を続ける二人を見つめながらそう感じた。
屋敷に同い年の子供がいなかったキルアにとっては、ゴンの存在が新鮮なものなのだろう。
良かった。彼が光を恐れずにゴンと仲良くしていて。キルアの望んでいた友達というものに、ゴンが入っていると良いな。
そう微笑ましく思って、ニコニコと彼らを眺めた。
ヒソカがトランプを試験官と偽物の試験官、猿に投げるということがあって、試験は再開される。彼は危険人物だ。私のように、人殺しに対して何の未練も躊躇も無い。
だが、私と違っている所は彼が酷く好戦的で残虐性があることだろうか。キルアもそれを感じているのか、ぴりぴりしていた。


2011/03/1

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